- 10/12/02東京国際フォーラム ホールAの改装工事についてのレポート
- 10/08/09Made in SODEGAURA
- 09/03/24Yuming苗場ゲレンデにてヴァレンタインライヴ
東京国際フォーラム ホールAの改装工事についてのレポート
その中でも我々外部スタッフ(音響的)の利便性が向上したことについての情報と問題点をレポートします。
①プロセミアムの内側に、持ち込みスピーカーをフライングする吊り点(チェーンブロック)が新設されました。
位置と重量は下記図面を参照ください。
②ハウススピーカーシステムが、いままで使用されていたEAWのスピーカーからd&bのスピーカーに新調されました。
最近の傾向であるラインアレイ系のスピーカーで、その中でも軽量コンパクトなタイプです。その構成は、メインスピーカー「J8(HiMidLow水平指向角度80°)」×8、「J12(HiMidlow水平角度120°)」×2 サブウーファー「J-SUB(Low)」×3をLRに配置し、センタークラスターに「J8(水平角度80°)」×6 というものです。LRのフライングされているJ8、J12は壁に固定されていて、そのアンプは天井裏のアンプルームに収納されています。(センタークラスター含む) J-SUBとそのアンプは使用する際に持ち出します。
ラインアレイとは?
一般のスピーカーから発せられる音(エネルギー)は波紋の様に水平、垂直360°広がっていくので、スピーカーから離れれば音(エネルギー)の減衰は大きくなり、遠くまで音を届かせるにはそれなりのパワーが必要になります。また広がる音は壁や天井に反射し、それが悪影響を及ぼしたりします。ラインアレイの特性は垂直方向に広がる音を抑え、水平に広がっていきます。そのためエネルギーの減衰が抑えられ効率良く遠くまで音を伝えることが出来ます。また指向性を活かし音の反射を抑えることが可能になりクリアな音が再現できます。垂直方向に広がらないため写真の様にスピーカーユニットを縦長に吊り、あるいは縦にスタックして使用します。
実際に使用しての感想
9月16日に「国際の友アジアパシフィックGlobal Peace with Music 2010 シン・スンフン&西村由紀江」というイベントがあり、普段ならPAシステムを全て持ち込むところ、仕込み時間がタイトであったこともあり、インプット系、モニターシステム、アウトのミキサー卓、周辺機器は持ち込み、アウト系のスピーカーとパワーアンプは新調されたホールの物を借用しました。 出演はシン・スンフン(Vo) 西村由紀江(Pf) オク・ジュヒョン(Vo) 演奏はDr、EBaas、Guit、Key の4人編成です。 音響エンジニアはエピキュラスの鳥羽正生さん。 音響的な信号の流れは下図の通りです。 (エピキュラス鳥羽正生氏作成)
東京国際フォーラム、ホールAの音響デザインは学会や講演会への対応を前提としたスピーカーシステムで、サブウーファー無しでも成立するシステムになっています。今回のライブではLRのメインスピーカーにサブウーファー、センタークラスターを足して使用しました、エリア的にも音圧的にもほぼ満足出来る仕上がりになっていたと感じることが出来ました。 下の図はセンタークラスター、メインスピーカーを音圧108.3dBで測定したものです。
センタークラスター
メインスピーカー
メインスピーカーにセンタークラスターを足した3Dの音圧分布図(SPL108.3dB)
3Dの図で示すように108.3dBで測定した場合、客席の94%のエリアを94~100の値でカバーしています。 しかし、客席前方(緑、黄色部分)は76~88と低く、この辺りをカバーするには別にスピーカーを追加しなければなりません。フォーラムサイドの認識も同様で、2011年1月には(緑、黄色部分)用のスピーカーの導入を予定しているようです。 また、現在主流のポップス系のサウンドを再現するには片側3本のサブウーファーでは物足りない感は否めません。
通常、ポップス系コンサートの全国ツアーを行なう場合、舞台セットや照明、音響機材を持ちまわりますが、キャパシティー5000人を超えるホールAは他の会場に比べ数倍大きく、ホールAだけ特別にスピーカーを追加したりすることが多く、それによる仕込み、調整時間が他の会場より多く要します。また経費もかかります。新調されたスピーカーをしようすることは、それらの負担の軽減につながるのではないかと思います。
まだ課題はあるものの、アーティストの音楽を、より良く、お客様に提供できるかが問題であることには変わりはなく、諸々の問題解消に向け、さらなる改善と努力を期待しています。
ご意見と資料の提供を頂いた方々
レポート 谷口博昭 |
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