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さいたまスーパーアリーナ公演 レポート

2/25(月)〜3/2(日)(本番 3/1・2)に渡って行われた、 おかあさんといっしょ さいたまスーパーアリーナ公演の2/27と2/28の 仕込み日の様子をレポートします。

今回のステージの配置概略図

2008年2月27日(水) 仕込み1日目

アリーナの天井が降りている様子
アリーナの天井が降りている様子

9:00 作業スタート。
1日目は大道具チームによる基礎舞台設営やトラスの吊り込み日。
この時点で、アリーナの天井が降りています。
これはこの後に吊るトラスを吊るためのモーターの吊点をとるためです。
一番手、大道具の丸与チームが作業開始。
まずはアリーナの床を傷つけないように、養生シートとコンパネで床面を養生していきます。
その間に鳶チームの手によって次々とモーターが仕込まれ、吊点作業が進んでいきます。

メインルーフを仕込む作業
メインルーフを仕込む作業

10:00
メインステージ側の天井の吊点作業が終了し、メインステージ側の天井がアップしていきます。
この作業は危険を伴う作業なので、天井がアップしている時は、天井の下には鳶チーム 以外は立ち入らないようにします。
メインステージ側に続いてセンターステージ側の天井もアップ。
天井がアップしたところで、メインルーフ(トラス)の仕込み開始。
トラスを吊点の下に持ってきて、ボルトでトラスをつないでいきます。
トラスがつながったところで、先ほどのモーターとつなぎ、トラスをアップするための準備をします。

HAKIで基礎舞台を組んでいく作業
HAKIで基礎舞台を組んでいく作業

11:00
トラスの仕込みが終わり、メインルーフをアップしていきます。
まずは150センチ程アップし、調整しながら序々に高さを上げていきます。
この段階では次の作業のために、仮位置で3メートルほどアップしておきます。 続いて、舞台そのものとなる基礎舞台を組みます。
今回はHAKIという部材で基礎舞台を組んでいきます。 ジャッキベース・ビームなどで脚組みをし、その上に平台を乗せていきます。

また同時進行で、上下にPAのフライングSP用のトラスを組んだり、上下のタワーを組んでいきます。
このタワーを組んでいく作業では、鳶チームは高さ11メートルにまで上がり、作業をします。
鳶さんだからこそできる、まさに職人の技です。

PAフライング用のトラスを組む
PAフライング用のトラスを組む


上下タワーを組む作業
上下タワーを組む作業
定位置の高さまで飛ばしたSPフライング用トラス
定位置の高さまで飛ばしたSPフライング用トラス
仕込まれたトラスにレールと幕を吊り込んでいく
仕込まれたトラスにレールと幕を吊り込んでいく

13:00
基礎舞台全体が組み上がります。
同時に下手のタワーが組み上がります。
ここで大道具 丸与チームは休憩に入り、その間に大道具 NHKアートチームによる 作業が入る。
(今回、NHKアートチームは主に、舞台上に出る道具や装飾関係などの細かい部分を担当 している。)
基礎舞台上の東西トラスに袖幕となる東西幕用のレールを仕込み、東西幕を吊る。
さらに舞台奥の文字トラスに、本番時の背景となる大黒幕を吊り込み始める。

タワーの各所に黒幕を設置する。
この黒幕によりお客様からの見切れを防ぎます。
タワーの各所に黒幕を設置する。
この黒幕によりお客様からの見切れを防ぎます。

14:00
花道のスロープ部分とセンターステージを組み立て始める。
また上下のタワーが組み上がり、黒幕を各所に設置し始める。
この作業も高所作業なので、鳶チームが活躍。

メインルーフと同じように序々にアップしていく。
メインルーフと同じように序々にアップしていく。

15:00
アリーナ中央部分にこの後設営されるセンターステージ用のセンタートラスがアップ。
センターステージの中央部分にTELMICのリフターを設置し始める。

16:00
タワーまわりの仕込みが終わり、上下のゲート用の袖幕設置。 本番時にはこの幕から高さ4mもの大きな山車が出ハケします。 メインステージ上は仕込みが落ち着き、基礎と共に仕込まれたPOP UPの微調整に入る。

16:30
メインステージとセンターステージをつなぐ、花道のベース部分が組み上がる。 そこに俳優座製作のスロープを乗せ、花道の基礎が完成。 センターステージも舞台部分を設置し、センターステージ完成。

センターステージを定位置で組む
センターステージを定位置で組む
HAKIベースに平台を乗せた花道
HAKIベースに平台を乗せた花道

20:00
大道具・アートチームによる細かい調整作業・装飾作業をし、1日目の作業は終了。

2008年2月28日(木) 仕込み2日目

スピーカーを昨日仕込んだトラスに吊る作業
スピーカーを昨日仕込んだトラスに吊る作業

8:00
2日目作業開始。
この日から照明チームやPAチームの仕込みが始まる。
まずは照明チームの搬入。
搬入し、機材の仕分けが終わると、昨日仕込まれたメインルーフを降ろし、今度は照明チームがメインルーフを仕込んでいきます。
まずはケーブルをはわせ、その後に灯体を吊り込んでいきます。
続いてPAチームも搬入開始。
PAチームはスピーカーを吊り込んでいく作業から開始。
まずは下手側のメインのフライングスピーカーから吊り込んでいきます。

10:00
PAのフライング作業に続いて、電飾コマデンチームによるLEDビジョンの設置作業に入る。
タワーに設置されたトラスから吊点をとり、パネル上になっているLEDを吊り込んでいく。
メインルーフは照明チームによる吊り込み作業が終了し、いよいよ定位置の9mの高さまで 飛ばしていきます。
トラスを飛ばす時はトラスから垂れているケーブルを介錯しながら飛ばしていきます。
吊点の位置からメジャーをかけておき、各点のメジャーで高さを調整し、決定の高さ(通称: 飛びタッパ)を決めます。

巻いてあったリノリウムをのばしておく
巻いてあったリノリウムをのばしておく

11:00
メインステージ・花道・センターステージはリノリウムを敷く作業に取りかかります。
冬場は仕込み時は縮んでいたリノリウムが照明があたり温度が上昇すると、 リノリウムがのびてしまうため、いったんリノリウムをのばし、そのまま置いておきます。 コマデンチームによるLEDの設置作業が終了。 PAチームはサイドのスピーカーを吊り込む作業に入る。

13:00
昨日仕込んだセンタートラスをダウン。メインルーフと同じように照明チームが仕込んでいく。
のばしておいたリノリウムをテープ張りして固定し、花道は装飾段階に入る。
また同時にコマデンチームがアイコーブ(舞台・花道の縁に仕込む電飾)を仕込み始める。
搬入がほぼ終了し、部材関係も片付き始め、収納していたラムダ(可動客席)を定位置にし始める。
舞台監督チームはメインステージ・花道にバミリ・ナンバリングを始める。

14:30
仕込み作業用にメインステージに設置していた会館のスロープを撤去。
いよいよ仕込みも終盤へ。

15:40
センタートラスがタッパまでアップしていく。
同時にケーブルの引き上げ作業も行われる。
これで仕込みの基本作業は終了。
この後も、翌日のゲネプロ日に向けて、各セクション細かい作業・調整が続いていく・・・。

~レポートの終わりに~
アリーナクラスの仕込みでは実にたくさんの人達が作業をし、たくさんの物が動きます。
中には高所作業など危険な作業もたくさんあります。
その中で私達舞台監督は各セクションの動きやセクション同士の関連性、時間との兼ね合いなどを考えながら、安全を最優先で確保し、かつ現場の交通整理をしていかなくてはなりません。
そのためには今何が行われているのか、この後何をしなければならないかを常に考え、広い視野で現場を見て、行動していかなくてはなりません。
私は若輩者ではありますが、今回の現場で得た経験を生かし、次なる舞台へ繋げていきたいと思います。

取材データ 
日時   2008年2月27・28日 
場所    さいたまスーパーアリーナ http://www.saitama-arena.co.jp/
舞台監督 玉虫豊・谷口博昭・中川聖一・佐々木誠・黒田大輔・さこ紀子・岩嵜直行・小林香織
文責    小林香織