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新国立劇場レポート

新国立劇場
機材搬入前のステージ、新国立劇場の舞台は床が黒塗りですね。この時点で舞台監督は図面と実際のステージと見合わせ、何所に何が置かれるか、どのバトンに何が吊られるか再確認します。
また、本人のポジション(立位置)、を決め、お客さんと の距離感等を把握しておくことも必要です。

2006年 4月5日 雨
新国立劇場は、部外者の出入りに関してかなり厳重にチェックされる。案の定、入れない。警備員さんに思いっきり疑われる。が、そこへ音響さん登場。スタッフパスを持つ彼と共に、中に入る。
何もない舞台。私はこの何もない舞台が好きだ。数時間後、この空間に何が立ち上がっているかを考えると、ワクワクする。

午前10時・搬入開始。
生憎の雨だが、屋根があるので問題なし。機材のため場の指示や、仕込みのための指示を伝える声以外には、時折穏やかな笑い声が響いてくる。だからと言って、別に全てが上手く言っているとは限らない。笑うしか無いときもある。

今回は、本当に穏やかだったけど。舞台監督チームは、みんなの安全を確認しながら、トラックの入れ替えなどの指示。怪我だけはしないようにね、みなさん。

30分後。照明のブリッジが降りてくる。搬入も終わり照明のつり込み開始。平行して、道具の吊り物の仕込み。音響の引き回しなど、小屋全体が活気に溢れ、鼓動している。

新国立劇場
ブリッジには数種類のスポットライトが数多く吊られます。ここで間違えると後でえらい目にあいます。
ここで、仕掛けの幕用の電磁弁を仕込む、舞台監督の名鏡氏発見。写真を撮ろうとしたら、上手いことカメラのフレームから外れて動く。裏方の習性として、これは間違った行動ではないと思われる。が、今日は舞台監督の取材である。めげてなるものかと、道具を撮っている振りをしながら、カメラに名鏡を収める。ほらほら、逃げるから写真写りが悪くなるんだってば。

仕込み開始から、約1時間30分。照明の吊り込みが終わる。いよいよ本格的にセットの組み立てである。何もかった空間に、徐々にセットがその姿を現して行く。

一つの舞台を立ち上げるために、事前に本番の何倍もの時間をかけて打ち合わせをする。道具帳といわれる、美術家の描いたセットの完成図があり、それを元に道具・音響・照明そして演出を話し合う。

新国立劇場
このアングルは舞台袖まで機材がある事が良く分かります。
新国立劇場
照明と同時進行で舞台セットも吊りこまれていきます。
新国立劇場
外観は完成したセット、しかしこれから照明や音響の調整が始まる。

二次元だったものが三次元の世界に姿を見せたとき、何となく軽い興奮を覚えるのは、私だけだろうか?とはいえ、何時間掛けて何回も打ち合わせをしても、現場で誤差が出るのは当たり前の事である。各セクション、臨機応変に一つ一つ対処して行く。

音響チームは黙々と、スピーカーを積み上げ、ケーブルを引き回し、卓をセッティング。音響機材は結構重いので、重労働である。まあ、どのセクションも大変なのは変わりないが。
黙々と道具を組むこと約1時間30分。セットがほぼ組上がる。先ほどまで何も無かった空間を埋め尽くす。
細かな仕上げと共に、舞台上の掃除。

バンド台が出来上がり、楽器が運び込まれる。それぞれの楽器の周りにマイクが立てられ、照明があてられる。
音響チームがスピーカーチェックとPAチェックをしている間に、道具チームはお昼休憩。大抵の場合、このように交代で休憩をとる.。

15時。舞台の仕込みはほぼ完了。
ここから出番なのは、映像チーム。今回は舞台奥に大きなスクリーンを設置し、そこに映像が流れる演出。家庭で新しくテレビを買った時にやるような調整でも、桁外れの大画面で観ると、それだけで感動してしまう、単純な私。

さらには、レザーチームの出番。映像有り、レザー有りの楽しそうな舞台です。レザーチームは、本番ではビュンビュンぶっぱなして格好いいですが、仕込みは、かなり慎重に角度を決めたり、タイミングを計ったり、コンピューターにプログラミングしたりと、実は地味な作業が多い。
さらに意外と地味なのが特効チーム。これほどに表からみる派手さと仕込みの地味さの落差の激しいセクションは他にない。どのセクションもそうだが、地味な作業を怠ると、本番で間違いなく痛い目に遭う。お客様に喜んで頂くために、かなり細かく重箱の隅を突きまくるのがこの世界。

地道な努力があって、はじめて派手な事が出来るのです。決まったときの爽快感は、これはもう味わった人にしか分かりません。

新国立劇場
レザーの調整、迫力ありますね。
新国立劇場
1台1台フォーカスを決めていきます。それが終わるとシーンごとに照明を作っていきます。俗に言う「あかりづくり」。現在はコンピューターを駆使して、曲によっては幾つものキューを打ち込みます。1曲でも何時間もかかる大変な所業です。

16時過ぎ。タッパ決め。
照明やスピーカー、道具等を、お客様から見えない高さまで飛ばします。文字と呼ばれる横長の布が上空のバトンに吊ってあるので、大抵はそれで隠す。あまり、全ての物を高く飛ばしてしまうと、舞台上にあるセットと間が空いてしまい、スカスカに見えてしまうので、照明さんとも相談しながら、バランスの良きところを探します。
舞台監督の経験とセンスが問われる所かもしれません。

最後に袖の位置を決める。お客さんから袖中が見えないように微調整。袖中が見えると、かなり油断しているアーティストとか、不機嫌なスタッフとか、次ぎに出すセットとかが見えてしまうので、これは慎重に行われる。

ここまでくれば、舞台は完成。この後頑張るのは照明チーム。沢山吊ったスポットを一台一台、狙った場所に明かりが出るようにシュートして行く。結構大変。だけど、何も手伝えないし、暗くなるので邪魔にならないうちに、
本日の取材は終了。

4月6日。 晴れ
昨日同様、警備員に止められる。
今日は舞台監督の沖崎氏に出逢い、一緒に連れて入って貰う。本日最初の作業は、照明さんの明かり作り。昨日シュートしたスポット達を、何処で点けて、どれと点けるかなど、各曲やシーンにあわせた明かりを作ってゆく。
同時にレーザーの調整、音響の調整、電飾の調整などが行われている。

今日は午後から、本人が入ってリハーサルが行われるので、それに向けてみんな真剣に最終調整。
舞台監督は、出入りの導線、リハーサル段取り等のチェック。舞台監督、清水氏は慎重に出入りをチェックし、
危ないところは白ガムで囲って行く。「注意して下さい」合図である。白ガムは便利な優れものだ。裏方の必需品。

12時頃から、それぞれの道具を動かしたり、吊り物を降ろしたりしながら、各シーンのチェック。明かり作りも佳境。とても綺麗な明かりだ。レーザーもバッチリ決まっている。地味な努力は決して無駄ではない。

13時。本人登場(紫吹淳さん)。邪魔になるので退散。取材終了。バイクを飛ばして帰宅。「お客さん、喜んでくれるかなぁ」と、一人ニヤニヤしていたら、トラックに轢かれそうになる。

コンサートでも芝居でもイベントでも、華やかな舞台の裏には地道な打ち合わせと作業がある。その積み重ねがあってこそ、足を運んで下さるお客様に喜んで頂けるんだと確信する。苦労した仕掛けなんかが、バッチリ決まって、
客席から歓声が上がったりしたら、もう、あまりの嬉しさに叫びそうになる。

ほんの数時間の夢の世界だが、お客様のために、裏方今日も頑張る。

取材データ 
日時   2006年4月5・6日 
場所    新国立劇場 http://www.nntt.jac.go.jp/
舞台監督  名鏡雅宏・清水信博・沖崎太郎
取材    岡林真央・濱中陽子
文責    濱中陽子